新しいフェミニズムの構想
〜第二次フェミニズム(女性の解放)を「含んで超える」〜 (2007.09.29)

 フェミニズムとは一般に「女性解放」と理解されています。運動としてのフェミニズムの広がりにより、女性の社会参画は当たり前になり、中には社会的な成功を収めた女性も存在するくらいです。
 現代では格差の拡大により、貧困層に位置する男性も顕在化しています。したがって、「女性の成功者もいるし、男性の貧困層もいる」と見えるため、「フェミニズムは古い」と考える人も増えています。
 しかし、フェミニズムの本質にあるのは「弱者が弱者のまま解放される」ことであり、フェミニズム運動によって培った理論と実践は、「貧困と格差」が顕在化した現代にこそ有効です。

※以下を読む前に「ジェンダー平等」を読んで下さい。

問題1:格差が作られた歴史の中に女性問題あり
 現在、企業は正社員を絞り込み、アルバイトや派遣などの非正規雇用労働者を増やしています。これによって若者のかなりの人達は不安定な労働条件で働いています。今や「大学を出てもフリーター」というのは珍しくありません。
 ここで着目しなければならないのは、もともと非正規の労働は「女性の働き方」だった点です。
 「女性はいずれ結婚して家庭に入るのが当たり前」といった旧来のジェンダー観が女性の非正規雇用を正当化したのです。ですから、「女性の働き方」が「若者全体に適用された」と見るべきです。
 企業から見れば「労働条件は低い方に合わせる」のがいいに決まっています。最近では正社員に対しても「派遣は安い賃金で良く働いている」「お前らももっと働け」と言った圧力がかかっています。今までの労働運動が「大企業で働くホワイトカラー」のためのものでしかなく、弱い立場の労働者に配慮しなかったことのしっぺ返しです。
 このことから、学ばなければならないのは、弱い部分を救うことが全体を助けることになる点です。

問題2:マスメディアでは成功者の女性が目立ちますが・・・
 マスメディアでは成功者の女性が目立ちます。そうした姿を見て「女はいいよね」と不満の捌け口とする男性の声もあります。
 マスメディアの本質は「目立つから取り上げる」です。
 仮に女性の成功者が珍しくなかったら、そんなに取り上げることも無いでしょう。
 実際は、女性のほとんどが決して豊かではなく、全体として見れば、男性より低い賃金で働いています。

問題3:ジェンダー問題はさらに隠蔽される
●家事は「生活の技術」。家事をやったことの無い男性が「生活に困る」ケースも。

●「暴力で女を征服するのが男らしい」といった安易な考えがDV(親しい者の間での暴力)を生む土壌に

●フリーターや派遣で働く男性が周囲から「いい年をした男が・・・」と言われる。

●「男なら家族を養うことが甲斐性」の決め付けが長時間労働を生み、過労死に至る原因になる。

それでは、どう考えればいいのか・・・
シンプルに言えば「個人の尊厳と解放」です。詳しくは以下になります。

1.多様性の全面的な肯定
 「女性は・・・」「貧困層は・・・」と言っても色々な人がいます。だから、特定の集団を想定するのではなく、「一人ひとりはみんな違う」という多様性を全面的に肯定します。
 一人ひとりの多様性に立てば、一人ひとりが自らの課題で動くので、他の集団とも課題別に連帯できる様になります。

2.「自分らしさ」の肯定
 モデルとなる集団や生き方を想定するのではなく、「自分らしさ」や「自分の気持ちに正直であること」を肯定します。

3.「生きること」が既に「政治的」
 現代では、厳しい現実の中を生きることが十分政治的です。だから、政治活動を追求します。

具体的な政策方針
●食べられなかったら生きられません。まずは生存権の確立を。
●現在の「世帯単位」の制度から「個人単位」へ。
●地方では多様な人々が政治に参画できる様に、住民自治の徹底を。
●誰でも表現の場所を確保できる様に地方自治体に「掲示板の設置」「市広報の市民への開放」などを求めて行く。
●多様な人々が働ける様に社会協同組合・NPO・社会的企業の活性化を。
●多様性が抑圧されるグローバリゼーションに対抗する政策を。

憲法との関係性

第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

※公共の福祉・・・一般的には「他人の自由を侵害しない限り」と読む

第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

第97条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

第98条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

第99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

 「個人の尊厳と解放」を目指す運動は、決して過激なものではなく、単に「日本国憲法を実現させること」を国に対して求めて行けばいいだけです。
 そして、それは、憲法12条により、国民の義務になっています。

第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

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